県議会だより第90号(平成11年12月定例会)

公開日 2018年7月2日

広報紙「県議会だより」 第90号

12月定例県議会は12月3日から20日までの18日間の日程で開かれ、農政部と林務部の統合を途中撤回、訂正した部制設置条例改正案、国の経済新生対策に伴う追加を含めた総額494億円の11年度一般会計補正予算など58議案と人事案2件、報告1件をいずれも原案通り可決、同意、承認しました。また10年度県歳入歳出決算の認定に同意しました。決算を認定したのは5年度決算以来、5年ぶりのことです。


県決算は6-8年度が食糧費問題、9年度は県畜産開発公社の補助金不正受給問題などを理由に不認定が続いてきました。10年度決算についても、随意契約をめぐり県監査委員が「違法な契約」と是正勧告した問題などに対しては厳しい意見が相次ぎましたが、採決の結果、賛成多数で認定を決めました。

農林統合問題では、議会行財政改革推進対策特別委員会が11月の臨時会の際、「時期尚早の意見が大勢を占めた」とする中間報告をしていましたが、執行部側は当初方針通り統合のための条例改正案を提案。しかしその後の一般質問、常任委員会などでの議論を通して執行部が姿勢転換、統合案を撤回し、その部分を訂正した条例案をあらためて提案するという経緯がありました。

初日の知事説明で、寺田典城知事は農林統合の必要性を強調したほか、策定中の「あきた21総合計画」について報告。「今後、地域懇談会などを開催し、議会をはじめ県民からの意見、提言をさらに反映させながら、年度内に全体計画を取りまとめたい」と述べました。また国際系大学(学部)構想に関しては、職員を米国に派遣して行ったミネソタ州立大学機構との協議内容を紹介、「機構側も極めて意欲的であり、現時点では構想実現の可能性は十分にある」と説明しました。知事は10年産あきたこまちの1サンプルから食品衛生法の基準値を上回るカドミウムが検出され、一部流通した問題にも言及。「秋田米に対する信頼を著しく損なうものであり重く受け止めている」とし、11年産米の安全宣言を行うなど信頼回復に万全を期す方針を示しました。

2日間にわたって行われた一般質問には7人が登壇、各常任委員会の審査も一部時間延長するなど活発に行われました。
11年度一般会計予算の補正後の現計は8,209億4,996万円になります。 決算特別委員会は従来、12月定例会での設置でしたが、9月定例会最終日に設け閉会中に審査を行っていました。新年度の予算編成に決算結果をより反映させようと狙いから、今回から審査方式を変更したものです。
10年度の歳入決算額は8,412億3,103万円、歳出決算額は8,303億3,288万円、差し引きの剰余金は108億9,815万円、これから次年度への繰越財源を差し引いた実質収支は21億2,352万円。


◎新年のあいさつ
秋田県議会議長 安杖 正義

新年あけましておめでとうございます。
西暦2000年、次のミレニアムの幕開けともなる新しい年を迎え、皆様には、健やかで希望あふれる初春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
昨年を振り返りますと、低迷を極めた県経済が、各種の景気対策と民間の方々の懸命の御努力に支えられて、全体としては緩やかながらも回復基調に移り、今後の本格的な回復に期待をつなぐ流れがみられました。
また、県政においては、開かれた個性ある大学をめざし次代の人材育成の拠点となる県立大学が開学したほか、フェリー定期航路の開設や道路網の整備など、将来の発展に弾みをつける礎が着実に築かれたことは、誠に喜ばしい限りであります。

さて、今、社会のあらゆる分野で「変革」が進んでおります。時代の大きな転換期とも言える中で、行政には、時代の潮流を的確に捉え、将来を見通した施策を進めることが、ことのほか強く求められております。
とりわけ、本年は、自己決定、自己責任を基本とする地方分権制度が実施の段階を迎えるほか、介護保険がスタートするなど、時代の節目を象徴する新しいシステムが動き出します。さらには、少子高齢化対策や行財政改革についても、一層の推進を図っていかなければなりません。

こうした重要な局面を前に、県議会といたしましては、これらの諸課題への対応はもとより、新しい時代に力強く発展する秋田を築き上げるため、これまでにも増して努力を重ねてまいりますので、県民の皆様にも格別の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
皆様にとりまして、本年が幸多き1年となり、併せて、ますますの御活躍と御健勝を心からお祈り申し上げ、新年のあいさつといたします。


一般質問
◎菅原 昇議員(自民党)

◆施策目的や施策体系などを整え、部局の枠を超えた取り組み、政策条例の制定を。

知事 重要課題に的確に対処するため、政策調整会議を設置するとともに、推進本部制を導入し、部局の枠を超えた取り組みを進めているほか、分野別基本計画を定め、県政運営に当たっている。今後、本県独自の分野別政策条例についても、できるだけ早く検討に入りたいと考えている。

◆行政評価の活用について効果を発揮させるため、行政評価条例を制定する考えはないか。

知事 県が実施する施策・事業について、必要性や住民満足度、成果等を客観的に検証し、その内容を県民に明らかにするため、本年度から独自の攻策・事業評価システムを本格的に運用している。評価の結果については、総合計画の策定や、次年度の予算編成等に反映させるとともに、意見、提言は今後の施策・事業に生かす。

◆県職員もNPO(民間非営利組織)に積極的に入り、組織体制充実のため活躍すべきだ。

知事 地方公務員がボランティア活動やNPO組織で積極的な役割を果たすことは、地域社会に貢献するだけでなく、多様な価値観に触れたり、新たな分野に取り組むことを通じて、能力・資質の向上や人間形成を進める貴重な機会になると考えており、率先して参加することを期待している。

◆合併論議の前段の取り組みとして、県も参加した広域連合体を設置してはどうか。

知事 広域連合は事務の効率化等を図るための一手法だが、その意思決定に当たり、構成する市町村との調整に手間取る場合がある。地域の維持発展を図っていくには、現在の体制でいいのかどうかを自らに問いかけながら、合併について議論していく必要がある。県が参加した広域連合体の設立については、市町村の意向を踏まえながら研究したい。


◎樽川 隆議員(県民クラブ)

◆策定中の農政ビジョンで、人材育成と特色ある地域づくりをどう進めていくのか。

知事 認定農業者はじめ新規就農者、女性農業者ら担い手が主体性をもって経営に取り組む際の指針となる「農業者と地域の夢プラン」を策定し、実践活動に活用していただく。その実現に向けた意欲的な取り組みに対し、総合メニュー方式による県独自の支援などの施策を行いたい。

◆介護保険適用の介護療養型医療施設は、現在の態勢で十分対応できるか。

知事 保険指定を受ける施設がどれくらいとなるかについて、まだ確定的なことは言えないが、既に療養型病床群等となっている病院・診療所が約2000床あること、これ以外にも転換中のものが若干見受けられることを踏まえれば、全県的にはおおむね対応できるのではないかと考えている。

◆県民合意に基づく教育改革をどのように進めるのか。

教育長 教師がゆとりをもって子供たちと触れ合うため、県が委嘱する研究指定校を休止したり、教職員の自主的な研修を支援する「チャレンジ研修マイプラン支援事業」を実施するなどしている。本年度は「ふるさと子どもドリーム支援事業」を実施し、子供たちの夢の実現に取り組んでいる。この事業を通し、学校と家庭、地域社会が協力して子供を育てていこうとする機運が高まってきた。

◆秋田市の中央街区再開発計画に関して、新たに設置する街づくり機関構想は、その後、どのようになっているのか。

知事 プロジェクトが着工して地代収入が得られるまでは、県内の中心市街地整備を支援できない等の問題があり、新たな機関を設立せず、より簡素で実効性のある支援制度について検討する。県有地については、計画中のプロジェクトが検討段階であることから、現時点では賃貸について判断できる状況ではないと考えている。


◎石田 寛議員(社民党)

◆県内12地域に誕生した広域農協の営農指導体制をどのように強化するのか。

知事 昨年度に「元気でいこう秋田県農業」事業を実施し、提言をとりまとめた。この中で、より高度化・多様化する農家のニーズに適切に対応していくことの重要性が指摘されている。こうした要請にこたえていくためにば、農家の相談窓口となる営農指導員の資質向上が何よりも重要であるとの観点から、本年度、研修計画を策定している。

◆ミネソタ州立大学秋田校の学生らの不安を解消すべきだ。

知事 先の訪米調査団においても、調査の目的が国際系大学(学部)構想に係る可能性を見極めることにあったことから、秋田校の問題については、議題としては取り上げなかったが、同大学機構総長との懇談で、学生らに不安が生じていることについて、県としても憂慮している旨を伝えた。今後、待に学生の処遇が適切に行われるよう対処したい。

◆バリアフリーにしようという住宅に助成制度を。

知事 既にバリアフリー改修に低利融資制度を設けているほか、改修の進め方や技術上のポイントをまとめた手引書を作成するなど普及に努めている。現在進めている「あなたのお宅をバリアフリー化します事業」の成果をいかし、より実効性のある新たな施策に向けて、積極的に取り組みたい。

◆NPO法人に他県では融資制度を制定するなど支援しているが本県ではどう支援するのか。

知事 これまでの資金助成に加えて、活動拠点の整備やボランティア情報のネットワーク化、コーディネーター等の人材養成などにより、その基盤の強化を図りながら、NPOと行政との協力・協働関係の基本ルールの確立に向け、民間の意見を十分に取り入れた基本方針を策定したい。

 


栗林 次美議員(市民派クラブ)

◆公共施設の木造化の推進をどう考えているか。

知事 地域のシンボル的な公共建築物については県産材を活用した木造化を積極的に進めていきたい。大規模な木造建築などの場合は、法的規制や規格外の木材の使用など、建設費が割高になることがあるが、こうした掛かり増しに対する県の支援を検討したい。特殊教育学校には特に木の持つ柔らかさ、温かさを重視し、できるだけ校舎の木質化を図るよう働きかけてきた。木材産業振興の面からも教育庁との連携を図り木材の活用に努めていきたい。

◆米飯給食週4回を目標に取り組んでもらいたい。

教育長 学校給食は正しい食習慣の育成や偏りのない食事を楽しむなどの狙いがあり、幅広い食事形態や多様な食材の提供が必要。米産県の本県の場合でも平均3.1回はほぼ妥当な回数と考えるが、基本として米飯を使うよう今後も誠心誠意努める。

◆秋田第2工業用水の一部を市町村の水道水に分けてやる考えははないか。

知事 玉川ダム基本計画に基づき県が水利権を取得している工業用水は基本的には臨海部に企業誘致を進めるための貴重な資産。水道水の確保に困難をきたしている市町村も水道整備計画上、工業用水の転用を前提としてはいない。しかし、水源に余力のあることが明らかになった場合には、改めて用途転換について検討したい。

◆和賀山塊を環境庁の自然環境保全地域に指定しようとする運動が始まっているが、県の方針は。

知事 極めて自然性の高い地域と認識しており、周辺部の開発に当たっては保全に十分配慮するよう要請している。本地域は国有林であり核心部は「森林と人との共生林」などとして原則的に伐採を行わないこととされている。林野庁の「緑の回廊」の設定と北東北3県で推進している「緑のグランドデザイン」の策定を踏まえ、保全がさらに強化されるよう各関係機関に働きかけていきたい。


◎原 盛一議員(自民党)

◆土地改良事業など農業農村整備事業の公的支援の拡充を。

知事 受益者負担が原則だが、公共・公益性が高い農道や大規模なダム、頭首工等の土地改良施設についは、国と地方自治体で事業費を全額負担している。今後の受益者負担の軽減については、「公共・公益的機能」について国民の理解を深めながら、国に要望していきたい。

◆土地利用型作物の生産振興をどう進めるのか。

知事 経営確立助成の対象作物として、大豆を中心に麦・ソバ等の土地利用型作物を組み合わせた生産を進めたい。野菜等の生産拡大については、水田の汎用化対策や団地化を進めるとともに、生産施設・機械等の条件整備、技術指導等による振興対策を講じたい。飼料用米は多収品種の開発や省力栽培技術の確立等の課題も残されており、慎重に対応したい。

◆カメムシ類の防除対策は現在のままでいいのか。また、農業災害補償制度の見直しを。

知事 本県の航空防除の推進方針は、殺虫剤の散布は原則一回としているが、今後は多発が予想される場合は、追加散布を指導したい。水稲共済については、広域的に大量の低品質米が発生した場合に、「特例措置」の申請を行うことができるが、今回は地域的な差があり、国とも協議し申請を見送ったと聞いている。農業災害補償制度の見直しについては、品質低下による収入の減少も補償の対象となるよう国に要望したい。

◆肉用子牛の価格低迷が続く中で、家畜市場の統廃合をどう進めるのか。

知事 農家や市場開設者からは有利販売のため、市場の一本化への機運が盛り上がっている。このため新農政ビジョンでは、家畜市場の統合を肉用牛生産振興の重点課題として位置付けている。今後は、市場開設者や学識経験者等で構成する推進会議を設置し、望ましい統合市場について検討してもらい、早期に統合市場が開設できるよう強力に指導したい。


◎土谷 勝悦議員(県民クラブ)

◆冬期農業の振興をもっと図るべきだ。

知事 消費者ニーズに対応した新鮮・高品質な農産物の周年供給体制の整備を図る上からも、極めて重要。新たな農政ビジョンの中で、「市場戦略性の高い産地づくり」の一環として冬期農業を位置づけ、野菜・花き・山菜・キノコ等の施設整備や除雪対策等を総合的に推進していきたい。

◆県南地区に全天候型陸上競技場を設置すべきだ。

教育長 19年国体の施設整備計画では特に既存の施設をできる限り有効活用していく方針で、新たに県営陸上競技場を建設する計画はない。しかし、全天候型陸上競技場が未設置である県南地区には必要な施設と認識している。

◆ごみ焼却施設の広域化計画の進み具合と今後の見通しは。

知事 ダイオキシン類の発生源を少なくするため「県ごみ処理広域化計画」に基づき、現在23あるごみ処理施設を29年度までに10施設に集約しようと取り組みを進めている。14年12月までには4ブロックで新基準に適合した施設により広域化が実現され29年度までにはそれ以外のブロックでも広域化が実現される連びとなっている。

◆農林の統合は進めるべきだが県のとらえ方は。

知事 本県の農林水産業が国内外の競争激化、高度化・多様化する市場ニーズ、就業者の減少・高齢化などの厳しい環境にある中で体質の強い生産流通体制を確立するとともに、農山村地域の活力向上と定住環境の整備を図ることは県政にとってさしせまった大切な課題。農政と林政が一体となって取り組む体制を確立し、独自の施策を重点的かつ機動的に展開していきたい。新たな農政ビジョンでも、農地・森林の保全対策、都市と山村の交流対策、間伐材を活用した農業施設の整備など、中山間地域対策の総合的な推進を図る。


◎大野 忠右ェ門議員(自民党)

◆知事の方針や見解は振り幅が大きく一貫性に欠けているのではないか。

知事 就任以来一貫して県民に開かれた透明性の高い県政の実現に努めてきた。今後の社会の大きな変化に対応していくためには県と県民とのパートナーシップの精神による地域づくりを一層重視していく必要がある。議会、県民との広範な議論の中でよりよい方向に収れんされていく柔軟性を重視していくことが時代の変化に対応する力となり、信頼される県政に結びつくと考えている。

◆市町村社会福祉協議会が介護保健制度下でも住民福祉の向上に貢献できるよう、県の支援策が必要。

知事 国の「社会福祉基礎構造改革」中で、市町村社会福祉協議会については地域福祉の中心的役割を果たすための住民組織等との連携強化や、サービス事業者としての事業の効果的・効率的実施などが提言されている。これを踏まえて基盤強化に向けた取り組みについて支援していきたい。

◆真木ダムの自然環境調査期間が長すぎるが着工の見通しは。

知事 予定地が県立自然公園内であるため昭和57年度から環境調査を始め、平成7年度からは湛水(たんすい)予定区域を中心に植物や猛禽類の詳細な調査を行っている。水道用水の確保は地元から強い要望があり、早期採択に向け取り組んでいく。

◆あきた21総合計画の県民の夢創造・パートナーシッププランでの「夢」と費用対効果をどう考えているか。

知事 「楽しみと交流の地域づくり」「夢ある子育て・家庭づくり」など七つの県民運動を展開しようとするもの。地方分権時代にふさわしい住民参加型の個性的で魅力ある地域づくりを推進するモデル的な試み。費用対効果のみで判断することなく、より多くの人に参画を呼びかけながら、大いに議論を重ねていきたい。


委員会審議から
◎総務企画委員会

問い 組織再編での総務部と企画振興部のあり方と事業の推進体制は。

答え 内部けん制部門と企画立案・事業推進部門は出来る限り異なる部局が担うことが必要との観点から全庁的な内部管理や調整などを行う部門を総務部、県政全般に関する企画立案、政策評価などを担う部門を企画振興部とする。こうした体制の下に、各部局は基本的な国、県の方針に沿って計画づくりをし、総合政策課の政策・事業評価を経て、事業実施されることが効率的と考える。

問い 「秋田ワールドゲームズ2001」の事業費と負担割合は。

答え 9月議会で報告した事業費25億5,000万円を精査した結果、宣伝広告費や行事・式典関係費など大会運営費の削減を行うとともに、運営本部を県庁内に設置するとしたことなどにより、現時点で予備費を含めた事業費は24億円と見込まれるが、今後とも一層節減に努力していきたい。負担割合は、県の財政事情も厳しいが、より厳しい市町村、民間にこれ以上の負担を求めることは困難と見込まれることから県が14億7,200万円を負担し、市町村、民間については従前通りの負担額としたい。


◎福祉環境委員会

問い 身体障害者居宅整備費補助金の実績と今後の見通しは。

答え 居宅整備補助金の実績は例年、35、6件程度だが、障害者の高齢化が進み、また障害の程度も非常に重度化してきているため、今後予算的には伸びると予想される。

問い 介護保険制度における基盤整備としての特別養護老人ホームの整備状況とホームヘルパーの整備率はどうなっているか。

答え 特別養護老人ホームについては、高齢者数に対するベット数の割合が、全国平均を上回っており、相当に整備されているといえる。しかし、ホームヘルパーは当初の計画数に達しておらず、今後いかにして市町村が見込んだ需要予測数に対し供給していくか、現在検討している。


◎農林水産委員会

問い 農業関係公益法人統合推進事業の内容は。

答え 5公益法人が培ったノウハウを結合し、生産から経営まで一体的な指導支援機能を持つことを目的に統合する。業務は中山間地域の創造性に係るアドバイスや地域循環農業の推進に係るソフト面での対応等が想定され、新しい農業ビジョンの施策展開での行政の補完機能を担うことが期待されている。新法人の理事、監事はこれまでの各法人の意見も取り入れながら選任し、運営にあたっては組織の合理化により、会員の負担が過剰にならないよう配慮していきたい。

問い 県産財の流通・販売施策は。

答え 本県のこれまでの林業施策は造林、育林が主体で、昭和40年代には大規模な造林運動を展開し、その杉は今後、20年から30年で伐期を迎える。国有林主体の流通経路、また伐期まで長期間を要する林業の特殊性から、流通・販売対策が積極的に展開されなかった経緯がある。成熟しつつある資源を活用し、県経済に寄与させるためには需要拡大、流通・販売の強化が重要。戦略的企画や情報発信機能を持ち、林産物を品目別にチェックしてコーディネイト機能等を発揮させていくことが必要。


◎商工労働委員会

問い 県産業振興プラザにおける企業の利用見込みと、企業支援について。

答え プラザの利用者数は事業の相談、施設利用などで、1日平均120人程度を見込んでいる。企業への総合的な支援を行うことを目的とした創業支援室を置き、創業希望の企業や異分野に進出する企業等から入居希望を公募、ビジネスプランの実現可能性などについて新しく設ける審査委員会で審査し、入居者を確定する。また、コーディネーターを配置し、地域のニーズに応じたきめ細かい相談などを行い、商工団体との連携も強化した。

問い 県南におけるインランド・デポ、いわゆる内陸通関拠点の活動状況は。

答え インランド・デポは地元や民間の要請により相応の実績に基づいて国が内陸部に税関機能を設置するもの。県南では横手インランド・デポ設置促進協議会が設置され活動している。その活動の一環として県南貿易フェアが民間主導で開催されている。インランド・デポを設置するには、通関実績で数百億円の通関貨物量が見込まれなければならず、ハードルが高いが、県としてもポートセールスや企業訪問を行うなど、貿易への関心を喚起することに取り組みたい。


◎建設委員会

問い 国庫補助の割り当て状況と年度内の発注見込みは。また、秋田空港東線の完成見通しはどうか。

答え 道路関係では今回の経済新生対策に基づく補正の結果、6月補正で減額となった額を上回る割り当てがなされた。補正予算はほとんどが繰り越しとなるが、発注はすべて年度内に行いたい。秋田空港東線は県南地域から空港へのアクセス道路として、また広域的な幹線道路網を構成する上で不可欠な路線。路線認定の後、建設省等との協議を本格化させ、平成12年度の着工、18年度の完成を目標に進めたい。

問い 県住宅供給公社が造成している「南が丘ニュータウン開発事業」の見通しは。

答え 計画面積約47.8ヘクタール、計画戸数約740戸で、平成13年の分譲開始に向け現在、造成工事を行っている。秋田市の住宅市場の拡大は厳しく、近隣には既に3団地、約1,700区画の大規模開発もなされており、課題は多い。しかし、秋田市の総合計画で住宅市街地として位置付けがなされており、秋田市の世帯数はまだ年間2,000件ほど増加していることから、今後、最大限の努力をして良質な住宅地として造成させたい。


◎教育公安委員会

問い 県スケート連盟で不適切に執行された補助金と未使用の補助金についてはどう対応するのか。

答え 今回の調査で明らかになった未使用分と、不適切に執行された分については、返還を求めることになると考えているが、その内容については十分に検討した上で決定したい。

問い コンピューターの2000年問題で県警としての対応は。

答え 警察本部長を長とする対策推進本部を設置し、対応策について準備を進めてきた。県警としては12月29日から1月5日までの8日間を特別警戒体制期間とし、突発的な事態の発生に備える。特に、大みそかから元旦にかけては、本部員50人が泊り込みで警戒に当たるとともに、約700人の警察官を動員し、街頭パトロール等を実施する。また、不測の事態に対処するため、予備隊としてさらに約600人の動員を発令している。


◎決算特別委員会 総括審査

県議会決算特別委員会(大里祐一委員長)は11月16日、総括審査を行いました。総括審査は寺田典城知事らとの一問一答の形式で、県南部への看護・福祉系4年制大学設置問題や、県スケート連盟の選手強化費使途報告書不実記載問題、能代産業廃棄物処理センター(能代市浅内)の告発など22項目にわたって質疑が交わされました。

県南部への看護・福祉系4年制大学設置問題について、寺田知事は「少子化の時代に生き残れるのはどんな大学なのか、県全体の高等教育機関整備という大きな枠組みの中で十分な時間をかけて検討すべき問題」との認識を示しました。その上で、設置時期に関しては「10年間というスパン(期間)でなら表現できる」として、実現に向けては相当数の時間を要するとの見解を明らかにしました。
この設置問題については、11月9日の部局別審査で、県福祉保健部は看護福祉系高等教育機関設置検討委員会(仮称)を12年度中に立ち上げ、当初予算に調査費を計上する方針を明らかにしています。
委員側が「大学は県立大の1つの学部としての想定なのか、あるいは単独設置なのか」と質問したのに対し、県側は「福祉保健部で整理した後に企画調整部が検討する2段階方式になる。教育庁や医師会など多岐にわたる分野との調整、需要動向など濃密な調査が必要であり、相当な時間を要する」と理解を求めました。

農政、林務両部の統合問題に関しては、知事は「端的に言って、合併させてもらい、議会や団体から『もっとしっかりやりなさい』と応援してもらいたいのが本音」と述べました。
市町村合併については「強制すべきではないというのが基本認識だが、大いに議論することが大切」としました。

県スケート連盟の問題に絡んで委員側は、県体協の役員体制の見直しなどを求めました。これに対し、寺田知事は「県体協はスポーツ振興のために努力してもらわなくてはならず、(役員体制も含めて)これからのあり方を考えなければならない」と答えました。
また、県スキー連盟についても強化合宿に疑問があるとして、委員側は「平成10、11年の合宿で、決算書とホテルの領収書に食い違いがある。水増ししたのではないか」などとただしました。しかし、小野寺清教育長は「調査は県体協の自主性を重んじており、結果的に納得できる資料を提出できると思う」と答えるとともに、現在は県スケート連盟の実態解明が急務であり、県スキー連盟については県体協を通じて報告させるとしました。

破産した能代産業廃棄物処理センター(能代市浅内)の告発については、寺田知事は「現在の法体系は(県や住民などに)迷惑をかけたからと言って、告発できるようにはなっていない。厚生省と打ち合わせたうえで判断したい」と述べました。

一方、神奈川県警が警部補の覚せい剤使用を握りつぶした事件で、事件当時の同県警警備部長だった寺中良則県警本部長は、「神奈川県警在職当時のことで皆様をお騒がせしていることは誠に申し訳なく思う。国民の警察に対する信頼を大きく揺るがせてしまったことに責任を感じている」と述べました。しかし、事件への関与については「検察庁の捜査の内容に深く関連することであり、答弁は差し控えさせていただく」と述べるにとどまりました。


◎11月臨時議会

臨時県議会は11月5日に招集され、県の組織機構再編案を審議してきた行財政改革推進対策特別委員会の津谷永光委員長(自民党)がこれまでの調査経過を本会議で報告したほか、10年度病院事業、公営企業の両会計決算認定案に同意、専決処分案4件を承認、10年度県歳入歳出決算認定案を決算特別委員会に付託して閉会しました。

病院事業会計は総収益82億2,387万円に対し総費用82億4,541万円で、純損失は2,154万円。公営企業会計の収益総額は71億5,620万円、費用総額は61億1,760万円で、差し引き10億3,860万円の純利益となりました。
専決処分のうち11年度一般会計補正予算は20億6,000万8,000円で、補正後の総額は7,713億442万9,000円となります。

行財政改革推進対策特別委員会の津谷委員長は、簡素で効率的な行財政運営と組織体制の確立には賛成しましたが、組織機構の再編は、県民や関係団体の理解と協力が不可欠との理由から慎重な対応を求めました。
さらに、農政部と林務両部の統合案については、中山間地域の振興、県産材の流通戦略の確立、間伐材対策、担い手育成などの課題がどのように解決されるか、統合によるメリットは「いまだ不明確」と指摘し、「さらに議論を深めた上で、具体の組織編成に着手するべきだ」としました。
しかし、「両部のノウハウを組み合わせ、農林水産業の一体的振興を図ることは喫緊の課題」と、県の再編案に賛成する意見があることも併せて報告しました。

文化行政を知事部局に移し現在の生活環境部を環境文化部とする案には、「文化行政の位置付け、推進体制をさらに検討する必要がある」としました。


◎議会リポート
12月定例議会で可決された主な議案は次の通りです。

【一般会計補正予算】75億6,319万4,000円の追加で、補正後の現計は7,791億772万3,000円。前年度同期に比べ、600億6,655万8,000円、7.2%減。
主な内容は▽北部エコタウン計画の家電リサイクル事業2億6,000万円▽秋田赤十字病院跡地の取得費15億5,920万9,000円▽秋田市向浜と外港地区を結ぶ秋田港港口部連絡道路の工法検討費900万円-など。

【国の経済新生対策に伴う補正予算案の追加分】418億4,224万5,000円の追加で、補正後の現計は前年同期比7.2%減の8,209億4,996万8,000円。
主な内容は▽介護保険事前サービス調整事業503万円▽5施設を修繕する老人福祉施設整備事業1億9,327万円▽精神障害者通所授産施設整備事業5,613万円▽5施設を改築、修繕する保育所施設整備事業1億2,514万円▽大潟村に玄米選別機2基を導入するあきたこまちブランドアップ対策事業3,230万円▽カドミウム汚染米対応の秋田米イメージアップ対策事業140万円-など。

【行政改革の推進を図るための関係条例の整備に関する条例】部制設置条例は企画調整部を企画振興部に、福祉保健部を健康福祉部に、生活環境部を生活環境文化部に変え、各部局の業務分担を一部見直した。農政部と林務部を統合する「農林水産部」設置案は、現行の「農政部、林務部」に戻すよう議案を訂正。部制設置条例以外では▽保健所と福祉事務所、農林事務所と地域農業改良普及センターを統合▽県婦人相談所の名称を県女性相談所に改める〓など。

【県人事委員会委員の選任】任期満了に伴い、弁護士の加賀谷殷氏〓秋田市将軍野南2-5-19を再任。任期は4年。

【県教育委員会委員を任命】任期満了に伴い、県社会教育委員の太田宥子さん〓秋田市新屋寿町6-53を新任。任期は4年。

【財産の取得】船用ディーゼル機関実験実習装置6,063万円。

【工事請負契約の締結】湯沢警察署庁舎建築工事を6億9,720万円で伊藤建設工業と契約。


◎意見書
可決された意見書の要旨は次の通りです。

▼平和外交の積極的な推進を求めることについて
日本は今、平和外交を進める重要な責務を負っている。近隣諸国と平和、友好の善隣関係を築くことによって、国民に安心と安定をもたらし、国際的に名誉ある地位を築くことができる。よって政府においては▽世界で最初の被爆体験国として、核兵器の廃絶に向け、具体的な計画を提示するよう世界各国に働きかける▽21世紀を目前とした平成12年7月に日本で開かれる第26回サミットで、平和外交の推進のため、日本は積極的なイニシアチブを発揮する-などのように平和外交を積極的に推進されるよう要望する。

▼インターネットの有効活用に資するための法整備促進について
今後、インターネットは、家庭を含めあらゆる分野に大きく普及していくことは間違いなく、個人のプライバシーを含む人権の保護を図る一方で、ネット上に起こってくるあらゆる犯罪に厳しく対処していくことが強く求められる。よって政府においては▽個人のプライバシー保護法を制定する▽ネット接続業者の責務の明確化を図る-などの実現に向け、早急に法整備を図られるよう要望する。

▼臍帯血利用料の保険適用等を求めることについて
安全な白血病治療法として注目されている臍帯血(ヘその緒と胎盤に含まれる血液)移植治療を受ける際に、臍帯血利用料に保険が適用されないという問題が残されている。これでは移植治療が利用されなくなるとともに、公的臍帯血パンクの運営にも支障を来すおそれがある。よって政府においては、臍帯血移植治療を促進するため▽平成十二年度において、臍帯血利用料の保険適用を図る▽公的臍帯血バンクに対する国の助成を行う-などの措置を講ぜられるよう要望する。

▼林政の基本政策の確立を求めることについて
日本の森林・林業・林産業は、未曾有の危機に見舞われている。このような現状を打破するためには、森林の利用と保全の両立を図るなど、新たな発想に基づく林政の抜本転換が必要と考える。よって政府においては▽林政に関する法体系の抜本的な整備▽木材自給体制の確立と生産・消費対策の強化▽間伐を含む要整備森林の整備促進・解消-など森林・林業・木材産業に関わる基本政策を早急に確立されるよう強く要望する。


◎請願
採択された七件の請願は次の通りです。

▼八幡平温泉郷内における地熱開発反対について
▼乳幼児医療費に対する公費助成の拡大について
▼承諾解剖(準行政解剖)に対する予算処置について
▼肉豚と畜検査料の引き下げについて
▼木材加工設備導入に対する支援措置について
▼県立大曲農業高校の校舎改築について
▼県立湯沢商工高等学校校舎改築について